10/12/2014

懐かしの漫画 ーあしたのジョー

子供の頃は、本が大好きで本の虫でした。
と同時に、ジャンプやマーガレットに代表される漫画雑誌が登場。
少女漫画、少年漫画問わずこれも乱読していました。
今は子供達がせっせと漫画を乱読していますが、さっぱり読む気になれません。
トシのせいか目が悪くなり、
眼鏡がたびたび合わなくなったりもするので、
絵と台詞の吹き出しがある漫画の紙面に疲れるようになった事が大きいです。
また、漫画そのものも、かつて私が好んでいた路線と違っている事もあります。

何度も書いていますが、
日本に一時帰国すると何故か漫画が読みたくなります。
正確に言うと読みたくなるというより、読めるモードになります。
目が見えにくいので辛いのですが、
実家に置いてある懐かしいものを手にとって読み返してます。
今回、読みたくなって手に取ったのは

「あしたのジョー」
ちばてつや  作画
梶原一騎 (高森朝雄) 原作

「あしたのジョー」アニメテーマソング
歌手:尾藤イサオ
作詞:寺山修司
作曲:八木正生


我が家にあるのは原作者の梶原一騎がまだ高森朝雄で仕事をしていた頃のもの。
古いです。下は我が家にある一式の最終回のある第20巻の表紙。
クライマックスのホセ・メンドゥーサとの対戦です。


これを読んだのは遠い昔。
子供の頃でした。

「あしたのジョー」の物語は2部構成ーーと私は思っています。
前半10巻は力石とボクシングとの運命の出逢いと別れ、


後半は、その後の矢吹丈の魂の軌跡です。

アニメにもなったし、漫画も同時進行で読んでいたように記憶しています。
ジョーをしのぐ人気だったライバルの力石など、作中で死んだ後、
公式にお葬式をしたくらいです。本当に生きたアイドルのようでした。
下はそのお葬式についてまとめられた映像です。

力石徹の葬儀は、第一部終了のフィナーレのようなものです。




今回、いい年の大人になって読み返してみて、
子供の頃より作品を味わえている自分に気づきました。
こんなにテーマがはっきりとしていた物語だったとは
子供の頃には自覚していなかったと思います。

生別、死別は不明ですが、矢吹丈には親がありません。
戦後の復興期から高度経済成長期の中、
親のない矢吹丈のような境遇の人々、
丹下段平とともに過ごした涙橋を渡った所にあるドヤ街に住む人々の世界は
しっかりと身近なものとしてありました。
どん底に突き落とされた感のある中、
あしたに向かって生きる希望を求めて進んでいこうとしていた時代です。
拳闘に才能を見いだした丹下段平は、その象徴です。
それこそ命がけで矢吹丈を拳闘の世界に引きずり込みます。

******

「あしたのジョー」は、矢吹丈という一触即発の、
自分の行き先を求めて苛立っている孤独な塊が、
拳闘(ボクシング)と出逢い、真剣勝負を繰り返す中、強い魂の絆も得、
魂を浄化させ、思い残す事なく肉体を離れていく物語です。

このプロセスが、殴り合い、傷つけ会う拳闘のシーンの連続の中で、
凛とした美しさを見せます。
ここに多くの読者が惹かれたのだと思います。
矢吹丈というキャラクターは、
物語の最初の頃は、ただの不良少年ですが、
ボクシングにのめり込むと徹底的なストイックさで
真剣勝負の世界に身を埋めて行きます。

「あいつには家族はいないのか?」
「死ぬ事が怖くないのか?」

と対戦相手を恐れおののかせ、
次第に命がけの勝負に引きずり込んで行きます。

彼の歩んだ軌跡には、身体が使い物にならなくなった者、
この世から去ってしまった者が次々と出て来ます。
それこそ屍の山の感があります。
そして、それがさらに矢吹丈をピンと針の先のように尖り切った
ストイックな勝負の世界に追い立てて行くのです。
そして、その始まりが力石徹との出逢いと別れなのでした。

作画を担当していたちばてつやは、
「あしたのジョー」を執筆していくうち、
原作者の梶原一騎 (高森朝雄)の予定していた物語と違う
ジョーの心の部分を入れざるを得ない気持ちになったようです。
ここが漫画界の巨頭同士の素晴らしい所で、
「思った様に変えていいよ。任せる」
梶原一騎 (高森朝雄)は、ちばてつやの感性を尊重しました。
どこが変わったかというと、下のシーンを漫画に入れた所とラストです。
共に名場面と言われています。
梶原一騎 (高森朝雄)の原作では、ジョーは生き延び、
白木葉子と結ばれ穏やかな生活を送るという事になっていたらしいですが、
執筆するうち、ジョーの魂の世界にのめり込んだ
漫画家ちばてつやの感性こそ本物と心から任せる事が出来たのでしょう。
この2人の素晴らしいパートナシップから、
名作「あしたのジョー」が生まれたというわけです。

では、その2つの名場面を紹介します。
まず、一つ目は、
ジョーに密かに心を寄せていた乾物屋の娘・紀子とのシーンです。
ここで、ジョーが何を追い求めているかが分かり、
彼女はボクシングに太刀打ち出来ないと思い知ります。
紀子は、のちに少年院時代からの親友のマンモス西とごく平凡で幸せな結婚をします。

↓↓



2つ目は、ホセ・メンドーサとの最後の対戦。
パンチドランカーにおかされ、この対戦は命取りと知った白木葉子が、
矢吹丈への愛を告白し、必死に止めようとします。
でも、彼は闘いを迷わず選びます。


そして、対戦の後、求めていた真っ白に燃え尽きた自分の境地に行き着きます。


ここから下のラストシーンまで、
一つひとつのコマの展開が素晴らしいですが、
ここでは紹介を控えます。
(ぜひ一度、読んでほしいものです)


全巻揃っているので、20巻全部を通読しました。
そうしたところ、
偶然にも東京で「あしたのジョー、の時代展」が開催されている事を知りました。
「うう、行きたい!」と思いましたが、
滞在中のスケジュールが一杯で時間が作れませんでした。。。
残念です。




インターネット・ミュージアム
「あしたのジョーの時代展」
というものを見つけました。
行けた気持ちにちょっとなれて嬉しいです。
↓ ↓ ↓
http://www.museum.or.jp/modules/topics/?action=view&id=505


でも、アニメの制作をした「虫プロダクション」の
手塚治虫博物館には行けました。
「あしたのジョー」がムシプロの作品であったとは知りませんでした。
虫プロダクション HP

******

あしたのジョーのアニメを探してみたのですが、
放送禁止用語が多く、放映停止か何かになった話題に沿ったものばかり。
昔のアニメには、その時代に広く日常的に使われていた
「放送禁止用語」があります。
「あしたのジョー」はドヤ街、少年院が舞台として出て来ますから、もう大変。
言葉が悪い事はわかりますが、
ある意味ではきれいごと抜きのその時代の生きた言葉であったとも言えます。
言葉が禁止用語を使っていたといえ、
人の心根、心意気の質が低かったとは言えないと思っています。

下のリンクに入ると「あしたのジョー」のアニメの中での
放送禁止用語について詳しく内容がわかります。
よく調査されていて頭が下がります。
「あしたのジョー」の差別・放送禁止用語について──「あしたのジョー」論その九

下はその中の一例。
もちろん、現在出回っているDVDでは、セリフは訂正されています。


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***************おまけ/アニメテーマソング集***************

「あしたのジョー」アニメテーマソング
歌手:尾藤イサオ
作詞:寺山修司
作曲:八木正生

力石徹のテーマ
ヒデ夕木 
作詞:寺山修司
作曲:八木正生


行け荒野を 俺らボクサー
夕陽がギラギラ 男の夢は
泣け明日は 今日は狼
自分の傷は 自分でなめろ
みんなはこの俺を 情無用と言う
月に吠えて一人 ウォー
親無し宿無しの 名もないボクサーは
鎖をかみ切った! ヤァーヤァーヤァー

行け荒野を 俺らボクサー
朝日が昇るよ 男の胸に


「ヤァー! ヤァー!」

書け名前を 徹・力石
流れる雲に 俺らの指で
聞けブルース 一人歌うよ
涙は誰にも みせてはならぬ
どこかで燃えている 盲目の星一つ
たたき落とせパンチ ヤァー
親無し宿無しの 名もないボクサーは
鎖をかみ切った! ウォー

行け荒野を 俺らボクサー
朝日が昇るよ 男の胸に
「ヤァー!」


「ジョーの子守唄」
演歌調が丹下段平っぽい。

http://www.dailymotion.com/video/xphg4h_あしたのジョー-ed-ジョーの子守唄-full_shortfilms


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2 件のコメント:

  1. >ここから下のラストシーンまで、
    一つひとつのコマの展開が素晴らしいですが、
    ここでは紹介を控えます。
    (ぜひ一度、読んでほしいものです)

    この部分覚えています。
    また今読むときっと違った感想を持つのでしょうね。思い出させてもらって有難うございました。

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  2. Golden horse さん、コメントをありがとうございます。以前も、一度コメントを「エースをねらえ」の時頂いているのを覚えています。その後、懐かしの漫画の投稿は遅々として進んでおりません。亀のようなスピード。。。書きたい物は沢山あるんですが。

    ところで、最終回のラストまでは、実はリンクを貼り付けた「ウエブ博物館」の「あしたのジョー、時代展」の中でしっかり全部紹介されております。全編読む流れの中であの最終回ーーの方がいいんですけどねえ。。。
    よろしかったらご覧になってくださいね。

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