10/04/2012

恨み晴らさでおくものかーUntil the Twelfth of Never: The DeadlyDivorceof Dan & Betty Broderick

今から20数年前(1989年11月5日)、
Betty Broderick(ベティ・ブロデリック)という、
敏腕弁護士の元・奥さんが、ドロドロの離婚劇のすえ、
恨み骨髄となり、
新婚ホヤホヤの元・夫カップルの寝室に忍び込んで2人を射殺。
殺人は大変な罪なのですが、
「こんな思いにさせた、あっちが悪い」
という信念が犯人にはあり、全米で騒がれた有名な事件です。
人々は、彼女を”Angry Betty"  と呼んでいます。
また、蔑まれた女性として彼女の事を表現する場合では、
"A Woman Scorned -Betty Broderick"と言われてもいます。
(Scorn = さげすむ、あざける)




Source: bing.com via Yoshiko Mishina on Pinterest
    Angry Betty

つい先頃(とはいえ、201o年ですが)
仮釈放願いが却下されたというニュースがありました。
No parole for 'Angry Betty' Broderick


敏腕弁護士の家族の愛憎のスキャンダル。
まるでドラマのような。
そんな所が、人々の関心を引きつけたというわけです。


さて、またまた前置きが長くなりましたが、
今回のお気に入りの本は
"Until The Twelfth of Never" 
ノンフィクションです。







犯罪ノンフィクション(True Crime)
”Until the Twelfth of Never"
Until the Twelfth of Never: The Deadly Divorce of Dan & Betty Broderick

作者のベラ・スタンボー (Bella Stumbo) は、文章が上手な人で、
ベティの結婚前後からをずっとていねいに取材し、
彼女が犯行に至るまでと、逮捕後の様子もフォローしていました。

おかしいな、新しい本を出しているのを見かけないなあと思っていたら、
今回、10年ほど前に亡くなっていたことに気づきました。
惜しいです。


Bella Stumbo - Author and Los Angeles Times profile writer known for her interviews with high profile individuals like Marion Barry, Daryl Gates and Rev. Robert Schuller in which she was able to draw out innermost thoughts, often to their later embarrassment (?you were Stumboed"), and who wrote the Betty Broderick biography "Until the Twelfth of Never", died Dec. 5 of throat cancer at age 59.



アメリカのトーク・ショーの女王・オペラの番組では、
このベティの子供たちをスタジオに招き、
視聴率トップ25に今も輝いています。


Source: bing.com via Yoshiko Mishina on Pinterest

離婚を言い渡される少し前のベティ

夫が、弁護士になるために勉強中の間、
子だくさんで、
お金にぴいぴいする貧乏生活の中、
子育てに追われ、すっかり所帯臭くなってしまったベティ。
夫のダンは、勉強に夢中。
4人の子育ての負担はいつもベティ。

さあ、やっと夫が弁護士として独り立ちし、
高級住宅地のお金持ち社会の一員となって、
優雅な暮らし、これまでの苦労が報われた、と思いきや、
偉くなった夫は、
「若くて美しかった頃の自分そっくりな顔の」彼女を作り、
さっさと離婚を言い渡して来ます。
一口で言えば、
「偉くなったとたん、苦労させた古女房をポイと捨て、
若い元気なお姉ちゃんとくっついた」
というわけです。

弁護士ですから、法廷での争いごとはお手の物。

ますますベティを激怒させていきます。
そして、ある夜、バーン。。。

事件の起こったLa Jolla という有名なお金持ちコミュニティでは、
「古女房と別れるときは、相手をあまり怒らせるとまずい」
『Angry Betty  を忘れるな』
という言葉がささやかれたとか。

彼女の事件までは、奥さんたちが離婚された場合、
かなりひどい条件でポイと捨てられていた事が多かったようです。
また、○○夫人という肩書きがなくなると、
この特権階級的社交界では暮らせなくなるため、
社会的ステイタスが大きく転落するという痛手もかなり大。
別れて、ただの人になった元奥さんたちは、
どの付き合いにも顔を出す権利がなくなってしまうのです。


私が彼女の事件を知ったのは、まだ渡米したばかりの頃で、
英語の勉強のために読みやすい本として、
犯罪のノンフィクションをいくつか読んだのがきっかけです。
こういった事件ものは、知らない単語の推測がしやすく、
辞書をひかずに随分単語を覚えられました。
(ここのところさっぱりです。ですから、紹介する事件が古い)
この本を読むと、確かにベティは凶悪殺人犯ですが、
元・夫のダンの方も、酷な事をしたと思います。
まるで、火に油を注ぐような。。。



 さらに驚くのは、離婚する頃までベティは美しい人だったのに、
離婚をきっかけに、一気に太り、どっと老け込んで、
全くの別人のようになります。
その変わった後の顔の方で広く知れ渡っており、
なんだか哀しい。

結婚した頃のベティとダン
浮気して再婚した女性も、じつは彼女の若い頃に似ている。


この本のタイトルは、
結婚式のときなど、よく歌われる歌の一つ。
実際、ベティの結婚式でも歌われたようです。
その歌詞と逆行した結末。。。
ためしに、歌も入れてみました。



You ask how much I need you
Must I explain?
I need you, oh, my darling
Like roses need rain

You ask how long, I'll love you
I'll tell you true
Until the twelfth of never
I'll still be loving you

Hold me close
Never let me go
Hold me close
Melt my heart like April snow

I'll love you 'til the blue bells forget to bloom
I'll love you 'til the clover has lost its perfume
I'll love you 'til the poets run out of rhyme

Until the twelfth of never
And that's a long long time
Until the twelfth of never
And that's a long long time


Read more: Johnny Mathis - The Twelfth Of Never Lyrics | MetroLyrics 



ところで、"Until Twelfth of Never" の意味ですが、
この場合、かいつまんで言うと”永遠”みたいな意味です。
説明が長くなるので、下のリンクを開いてみてください。
いくつかの説明が見られます。
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/2340289.html

この歌は沢山のミュージシャンが歌っています。

  
  
人を怨むエネルギーは辛そうです。
ベティは刑務所に入りましたが、
憎む気持ちの檻から出ることの方が難しいように見えます。

ベティに限らず、怒りや憎しみに囚われている例は犯罪に限らず
あちらこちらにあるなあと思うのですが、いかがでしょう?

ひどいしうちを受けたら、人は恨むのは当たり前です。
でも、なによりも一番のひどい仕打ちというのは、
恨みの気持ちをすり込まれることではないかと思うようになりました。

下はAmerican Justice という番組のダイジェストです。
よろしかったらご覧下さい。
英語が苦手でも人と人の諍いは万国共通ですから、けっこうわかります。



時代ですかね。
彼女の減刑のアピールのサポーター向けのfacebook pageがありました。

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