12/19/2012

コネチカット小学校銃乱射事件 - 2つの課題 ガンコントロール と メンタルヘルスケア




Adam Lanza(アダム・ランザ)



12月14日(金曜日)
コネチカット州のニュータウンで起きた事件は、
全米の小学校を戦慄させました。

犯人のアダム・ランザ(20)は、自宅で母親を殺した後、
Sandy Hook(サンディー・フック)Elementary School に侵入、
20人の小学1年生、6人の校長を含む教職員を次々に射殺。
最後に現場で自殺しました。
公的な被害者の数が、26人になったり、27人になったりしていますが、
母親を含めるか含めないかの違いではないかと思われます。


この事件が、どのくらいインパクトがあったかというと、
例えばミシガン州の小さな町に住んでいる我が家の例をあげます。
日曜日、小学校4年生の息子の学校から、
全保護者あてにメールが届きました。
14日(金)のコネチカットの小学校での事件で、
学校に行く事が不安になっている子供がいたり、
悲しみのあまり、不安定になっている場合は、
必ず学校に連絡すること、
(明日の)月曜日は、なるべく普段通りの方法、ルートで学校の登下校をし、
変わった事はしない方が望ましい、
なるべく親は家できちんと子供を迎え、
一緒に過ごす事が望ましい、などなど。



今回の事件発生直後、オバマ大統領は Newtown (ニュータウン)を訪れ、
哀悼の意を表しました。沢山の有名人もそれに続きました。




President Obama's Speech & transcript(英語)


下 のリンクは、被害者のリストです。見ると辛くなってきます。

Conneticut School Shooting Victims(英語)

下のビデオでは、著名アーティストたちが、被害者1人ひとりの名前を手に掲げながら、
追悼のハレルヤ(Hallelujah)を歌っています。


事件の起こったSandy Hook Elementary は、
事件から4日目の18日(火)、
学校を再開しました。

校長先生も亡くなり、
事件もつい数日前の事で、悲しみのまっただ中なのですが、
だからこそ、学校、保護者、住民が団結して、あえて学校に戻り、
悲しみや不安を分かち合い、受け止め合いながら、
この悲劇を乗り越えていこう------という事のようです。
スクールバスの後を、葬列がそのまま続くなどし、
町中で、事件の被害者、家族に対する
追悼の意を表しました。

また、子供たちが不安を持たないよう、
警察が学校を取り囲み、厳重に警護。
保護者も、できるだけ学校に行き、
子供たちのそばで待機していてあげていたようです。


ところで、現在私が住むミシガン州では、恐ろしい事に、
学校に銃を持ち込む事を許可する法案が通ったばかりでした。
コネチカットの事件は、その法案が通った2日後に起こり、
早速、見直しされる事になったようで、良かったです。
私としては、護身用、緊急事態用などといっても、
かえって学校が戦場になってしまう気がして不安でなりません。

銃の乱射事件が後をたたないアメリカですが、
このコネチカットの事件は、
標的になったのが小さな子供たちだっただけに、
いよいよ、ガンコントロールについて真剣に考えろ、
という声が、今までになく高まっています。

州ごとに決める法律ではなく、アメリカ合衆国全体の法律として---です。

このまま、本当に銃規制がきちんとできる国になってほしいと願います。
一般人が簡単にライフルやマシンガンを持てる環境は恐ろしいです。

下のリンクは、アメリカ国内で起きた乱射事件の年表です。
いかに Mass Shooting が多いかがわかります。
学生、子供が犯人としてラインアップ。その場合、学校、大学が犯行現場です。
恐ろしい事のもう一つは、こういった事件が起こると、
それをお手本にしたように事件が続いていく傾向がある事です。
年表を見ると、ここ数年、
事件発生のピッチが急速に上がって来ている事がわかります。

Deadliest U.S. mass shooting(英語)

バージニア・テク(Virginia Tech University) での乱射事件(2007)が被害者数最高です。

大学で犯人は何度も教授、学生らからレポートされていましたが、
事件は起こってしまいました。
犯人は韓国系アメリカ人(2世)で、東南アジア系であったため、
ニュースを聞いた時、日本人のわたしには大変なショックでした。


そして、今回のSandy Hook Elementary が、それに次ぐスケールです。
今年の8月に起きたコロラド州オーロラでの映画館での乱射事件も、
負傷者とのトータルでは最高の部類に入ります。
これについては、8月に投稿記事を書きました。↓

コロラド映画館銃乱射事件ーマシンガンを一般人がネットで購入できる国、アメリカ


犯人の動機は。。。?



犯人のアダム・ランザは、アスパガー・シンドローム
(日本ではアスペルガーと発音)という事がわかりました。
アスパガー・シンドロームの子供を抱える家庭にとって、
とても辛い事件となりました。
専門家によると、アスパガーである事は、
今回の犯行と関連性はないとのこと。
しかし、アスパガーの子供を持つ親たちの間には、
電流のようなショックが駆け抜けました。

何か別の心理的、精神的要因があるはずとのことで、
分析が待たれます。

Medical examiner seeks genetic clues to Connecticut school gunman(英語)


さて、アダム・ランザは、どうやって銃を手に入れたか?
これは、収集家である母親、ナンシーの所持品であったことがすぐわかりました。
ランザの両親は、3年前に離婚。
今回の事件で最初犯人と間違えられた兄が父親と家を出ました。
ランザは母親とそのまま家に残りました。
そして、母親のナンシーは、女1人では不安だと、
護身用にハンドガン、ライフルなどを所持しはじめたのです。

ナンシーは、護身用の銃で、自らを葬る事になりました。
顔と頭に何発も銃弾を撃ち込まれるという、実にむごい形で。

動機が一体何なのかは、不明のままです。

アスパガーのため、学校ではずっと苦労してきたランザです。
母親のナンシーは、ずっとランザをサポートしてきていました。
学校に通って単位を取る事が難しい場合、
ホームスクール(家で勉強するシステム)をするなどしていました。
高校卒業資格(GED)を取得し、大学の授業も受けていました。
成績がとてもいい生徒でした。
ただ、いつも母親の助けが必要でした。

学習障害、発達障害を持つ子供たちについて、
子供がまだ小さい学齢期は、
学校や地域でのサポート体制があります。
学校という社会は、家族と子供に居場所を提供してくれます。
が、
子供が大きくなるにつれ、だんだん難しくなっていきます。

社会に出てからは、一般の人の中でやっていかなくてはいけません。

ランザの叔母(多分母親のナンシーの姉妹)が、こうコメントしています。
「発達障害の子を持つ母親は、フルタイム・ジョブを持っているのと同じ。
いつもアダムのために何かしていた」

大学でも良い成績を取り、
講義にもきちんと出ていたランザでしたが、
2009年の両親の離婚のすぐ後、
別れた父親が、別の女性(のちに再婚)と交際を始めた頃から、
様子がおかしくなります。
家を出た父親と兄と絶交状態となり、
2人と決して会おうとしませんでした。


Conneticut school shooter was estranged from (his) father(英語)


このころから、
ぱったりと大学の講義にも行かなくなりました。
犯行に及んだ2012年までのこの2年ほどの空白期間、
いったい彼は、どのような生活をし、
どのような精神状態だったのか。
母親はどのような対応をしていたのか。
ランザだけでなく、母親自身の精神状態はどうだったのか。

ランザは、犯行に及ぶ前、
自分のコンピューターを徹底的に破壊しています。
その中に一体何が隠されているのか。
母親のナンシー亡き後、
誰もヒントを与えてくれません。
捜査は、このコンピューター内のデータ復元に取りかかっているようです。
(12/19/12現在)



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資料(英語)
Sandy Hook Elementary School Shooting
Deadliest U.S. mass shooting(英語)
Conneticut School Shooting Victims
アダム・ランザの銃は母親の所持品だった。
犯行前に破壊されたランザのコンピューターの中には何が? 
アダム・ランザ(20)は、アスパガー(高機能自閉症)
銃の規制、アスパガー、高機能自閉症へのケアについて
http://www.theatlanticwire.com/technology/2012/12/what-research-can-tell-us-about-newtown-shootings/60022/
Medical examiner seeks genetic clues to Connecticut school gunman
Conneticut school shooter was estranged from (his) father

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