3/18/2014

ミシガンシアターで映画鑑賞 <The Wind Rises (風立ちぬ)>


アナーバーのダウンタウンにあるミシガンシアターは、建物がHistoric Buildingです。
ですから映画を観る、
昔のまま保存されている劇場の内部を見物する
----この二本立てで楽しめます。

Michigan Theater

去年、ここの夜の風景を水彩で描きましたが、
Michigan のスペルをなぜか1文字間違えていました。
ずっと周りにいる絵描き仲間も気づかず、さあ完成というところで、
「ヨシコ、これ、スペル違ってるよ」
と1人が気づきました。
言われて私も他の皆もやっと気づいたという次第。
滑り込みセーフです。
おかげさまで、この看板を見るたびに、このことを思い出します。
劇場には、もちろん売店があります。
嬉しいのはポップコーンの大がおかわりが自由!
息子はおかわり自由のポップコーンがないと大いに不満なのです。
余談ですが、我が家では
行き着けの"大衆映画館"でポップコーンのフレーバーが無料でかけ放題だったため、
映画館のポップコーンにはフレーバーをかけないと我慢できなくなっています。
悲しいかな経営者が変わり、今ではフレーバーが有料になりました。
ということで、映画鑑賞には自前のフレーバーを持参しています。
今回は、ホワイトチェダーとバター風味を持って行きました。

我が者顔でどんとあるのはアナーバーの人気店Zingerman のお菓子。
さすがアナーバーの「ちょっと違うのよ系」の映画館です。
お菓子はZingerman でなくちゃです。
(客層がそうなんだと思うけど)
高そうなので写真だけにしときました。
Zingermanに関する投稿
↓↓

入ってすぐのホールは広くはないですが、とても奇麗です。

奥の映写室に続く廊下は、壁にびっしりとこの建物の関係の掲示物。
y
入ってすぐの映写室は大きくて素晴らしい!
ミシガンシアターで難なのは、チケットに何も書いてないこと。
(多分、経費がかからないようにだと思う)
入り口のところに普段はサインを立ててあるのですが、
この日はわかりにくく、どの映写室でやるのか不透明。
日本の人たちが入っているので深く考えずに入った所、
直前になりどどっと出て行きました。
近くの席の人にここでは何を上映するのか聞いたところ、
「ヒッチコックよ〜」

滑り込みセーフで入った別の映写室は半分以下の狭さなのにもうぎっしり。
ヒッチコックの方は、あんなに広いのにパラパラとしか入っていなかった。
これってないんじゃない???


このピカピカのWater Fountain (今は水が飲めない)の写真をパチりと撮っていたら、
「すいませ〜ん」
と1組のカップルから声をかけられました。
「僕らの写真、このカメラで撮って下さ〜い」
「はいはい」
パチり。

*******

映画は「風立ちぬ」(The Wind Rises) を観ました。




普段、映画を観に行くときはあまり予習しないようにしています。

観ていると、何だか、これ、もろ堀辰雄の世界だな〜。
と思い、
そういえば「風立ちぬ」は堀辰雄の有名な文学作品名。
と思い出し、

でかでかと「堀越二郎と堀辰雄に敬意を表して」とあるのにやっと気づいた次第。
あまりにデカデカと書いてあったため、かえって気づきませんでした。。。(恥)
(あそこまでまともに堀辰雄の世界を使っていますから、たしかに一言ない方がおかしい)

飛行機(空を飛ぶ)へのロマン。
堀辰雄と結核の恋人との愛のロマンチズム。

この2つが軸になっています。

タイトル音楽は松任谷由実の「ひこうき雲」。
この曲が流行った頃は結婚前で、荒井由美(ユーミン)。
大学時代にとても人気があったので、懐かしいです。
ジブリのスタジオも東京の武蔵野にあり、
画面からそこはかとなく武蔵野の雰囲気を感じています。
私の卒業した大学もそのあたりなので観るたびに懐かしい。

明治、大正時代の日本文学も東京が中心でした。

松任谷由実ですが、
松任谷正隆と結婚してから歌のサウンドのアレンジが凝ってきましたが、
デビューしてから結婚するまでのあのシンプルなサウンドが好きです。
歌詞(Lyrics)がとても引き立っていました。
この「ひこうき雲」もその時代の歌です。
(下はユーミンが歌ってないですが。。)



下はユーミンが歌っているライブ(消されるかも)
ちょっと不安定な感じぎりぎりの不思議なところが心地よい。


第二次世界大戦で有名な零戦の設計者・堀越二郎がモデルになっていますが、
はかない堀辰雄的な世界のかかわりをする恋人は架空の人物です。
また、どう考えても二郎は堀辰雄の人物像だと思っています。
ですから、結核で亡くなった婚約者・矢野綾子がモデルといっていいでしょう。

堀越二郎
http://www.pinterest.com/pin/276971445807684332/
堀辰雄
http://www.pinterest.com/pin/276971445807684324/

矢野綾子
http://www.pinterest.com/pin/276971445807684327/

実際の堀越二郎氏はアニメの中の年齢ではすでに結婚して子供もあったそうです。
堀越氏の本当の私生活と全く違っているけれどーーー

という点に関しては、一応遺族の方から了承を得ているようですが、
ただぼおっと観て通り過ぎるだけですと、
実在の人物だけに勘違いされちゃいそうですね。

しかし。。。宮崎駿という人は、
ここまで素直に自分のロマンを表現するなんて、感心します。
何といいますか、とてもストレート。
並の人だと、照れて恥ずかしいと思うのでは。
うーん、こういう所、さすが大物と思う事がたびたびあります。

以下はあらすじというより、私の覚え書きみたいなものです。

****

飛行機づくりにロマンを持つ主人公・二郎は、
飛行機を設計したいという夢を子供の頃から持つようになります。
近眼の二郎は、パイロットとして飛べそうにない事を悲しく思っています。
尊敬するイタリアの飛行機の設計者・カプローニ(生涯会う事はなくイメージ)と、
お互いが共有する夢の中で出会い、折節、そこで出会い続けていきます。
出会う度にインスピレーションや激励をもらいます。

「エンジニアは作る事に専念すればいい。自分が飛ぶ必要はない」

二郎は迷いを捨てる事ができました。

****

とびきり美しい、素晴らしい飛行機を設計したい。

でも、

飛行機を設計し、実際に大空に飛ばすには、
莫大なお金がかかります。
主人公の時代、日本は貧しく、また、ヨーロッパ諸国でも
夢になどお金は払いません。

戦争が飛行機の発展を望みました。
そこにはどの国もお金をざくざくと出しました。
より良い戦闘機を! です。

戦闘機の登場は、戦争をさらに過酷な物にしました。
空襲ができるようになったからです。

この戦争とロマンが切っても切れない矛盾した関係にあるところが、
この映画の全編の背後にしっかり横たわっています。

「美しい」という言葉を二郎は度々口にします。
夢の中で出会うカプローニにしても、
どちらかというと、アーティストです。

でも、2人とも
現実で必死になって作らなくてはいけないのは戦闘機なのです。
このあたり、戦後の今の時代に対して、いろいろ苦慮している所が感じられました。


関東大震災、日本国内の不況、そして再び戦争へ
恋人(妻)の死。
そして敗戦。

二郎は引き続き、戦後を生きて行くーー
というところで終ります。

すべてが淡々と流れていく映画で、
そこが良かったです。
いやあ、しかし、本当に「堀辰雄」してました。

*** ***
今回は、大学生の娘と小学5年生の息子と観に行きましたが、
息子が、
「なんであんなに丁寧な言葉を使っているの?」
と人物たちの言葉づかいを不思議に思ったようです。
私は昔の物を読んだり観たりしているので
すっかり慣れっこになっていましたが、
たしかに今、海外暮らしだし、
言葉遣いの雑な私と暮らしていると不思議に思うだろうなあ。


あの頃の時代は家柄がよい人、お金持ちが高等教育を受けられました。
高い教育はまだまだ上流階級の人々の物だったのです。
家柄の良いお宅は、「ねえや」(女中さん)を置いていました。
(使用人というより、家事と行儀見習いという感覚が強かったようです)

家柄の良い人たちは、
いつも振る舞いや言葉使いを上品にするように気をつけていました。

友人が、男女差と身分の違いも言葉の中によく出ていたよねとも。
確かに。あの時代は女性の地位は低かったし、
人々も身分の違い(階層)がはっきりとありました。
士族、皇族、華族てな感じです。

*** ***

二郎の夢の世界の中で、カプローニが
「エンジニアの感性は10年。この10年間にベストを尽くしなさい」
といったセリフを言っています。
クリエイターの世界のセリフですね。

私は絵を初めてちょうど5年目に入ったところ。
まだ修行中なので感性が芽生える以前という感じですが、
この10年の境地に至れるレベルに早くなりたいです。

宮崎駿はアニメの世界のキャリアが長いですが、
この10年というセリフをどのようにとらえて、ここで表現しているんだろうか?
ちょっと気になりました。
アニメのクリエイターは別物なのかなあ。

いずれにしても、自分が専念している事は仕事でも何でも10年ごとに区切り、
それぞれに新たな方向性を持って頑張ると良さそうです。
人生も10年たつと違うステージに移行するものですからネ。
********
堀辰雄

「風立ちぬ」公式サイト
http://kazetachinu.jp/

Michigan Theater
http://www.michtheater.org/schedule/



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